エセ紳士の館

食い道楽日記。ランチネタは定評がありました。主な活動領域は恵比寿、広尾、西麻布。

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[IT] モバイルソーシャルゲーム開発に約3ヶ月関わって気づいたことまとめ。

昨年の11月末あたりから、大学時代の友人の会社のお手伝いをしてます(モバイルソーシャルゲームの会社)。その過程で気づいたことを、簡単ではありますが今のうちに挙げておきたいと思います。

なお、ターゲットとする読者層は3ヶ月前の自分のような、この業界をあまり知らない人向けです。詳しい人は読むまでもない話ばかりかと思いますのであしからずご了承ください。

まずはその会社とエセ紳士について簡単な情報を書いておきます。
メインビジネス:ガラケー向けのゲームアプリ開発。(現時点)
エセの役割:コードを書く人ではなく、アシスタントディレクター的なお仕事。絵師さん探しから、制作イラストについての資料まとめ、それをもとに絵師さんにイラスト制作依頼、仕上がり分のチェック、あとは支払いの手続き。他には既存アプリのカスタマー対応。
当初は文字通り「お手伝い」程度に考えていたのですが、気づいたら予想以上に組み込まれておりまして、その結果、抜け出しにくくなりつつありますが、とりあえずその話は横に置いておいて、と。

  1. モバイルソーシャルゲームの構造
  2. GREEやモバゲーなどのプラットフォームがあり、そこにゲームを提供するSAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)がたくさん存在します。ユーザーはまずはプラットフォームにアクセスして、そこにある(かのように見える)ゲームで遊びます。(実際はゲーム開発会社が提供するサーバー上に飛んでいるので。)遊ぶ過程で、アイテムやアバターなどの課金を通じ、お金を支払います。(もちろん無料のままでも遊べることがほとんどですが。)
    早く回復したい!とか、仲間を助けに行かなきゃ!とか、アイツ(別のユーザー)に負けたくない!というような気持ちを煽ってあげる・・・じゃなくて、くすぐってあげる・・・じゃなくて、お手伝いさせていただくことに対して、ユーザーさんはお金を払ってくださるわけですね。ありがとうございます。

  3. モバイルソーシャルゲームの主戦場
  4. 今はまだフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)です。稼動している台数を考えれば必然です。ただ、ここからどんどんスマートフォンに移行していくと見込まれており、ゲームのプラットフォームを提供しているG社やD社もそっち方面へのキャッチアップを進めている状況のようです。もちろんM社もそうでしょうけれど。

  5. アプリ開発期間の短さ
  6. 企画からリリースまで、大体1〜3ヶ月程度のようです。他のアプリとかゲームを詳しく知るわけではありませんが「圧倒的に短い」というのが正直な印象です。その分、クオリティや作り込みにおいて、正直残念な部分もあります。ただこれをカバーすることもできる点は後述します。

  7. 低予算
  8. やろうと思えばめちゃくちゃ低予算でできちゃいます。インフラについてはSaaSモデルの活用でサーバーを必要に応じて設置できるのでイニシャル、運用コスト共に抑えられますし、仕組み自体が複雑すぎるものはできないので、プログラム自体もそれなりにすっきりしたものとなります。(コードについては専門外なので聞きかじりで恐縮ですが。)あと、ゲーム内の素材(特にイラスト系)もゲーム用なのである程度融通はきかせてくれます。ありがたいことです。

  9. リリース後の改善
  10. 通常のパッケージゲームと異なり、リリース後の修正とか余裕でできちゃいます。場合によっては低クオリティになっちゃいそうな点を補えるポイントはここです。もちろん限りなくノーバグに近い状態でリリースを目指すことは重要なんですけど、そんな悠長なことを言ってられる世界でもない(スピード命)なので、致命的な部分さえなければリリースしちゃえ!みたいなノリは確かにあります。

  11. 継続して遊んでもらうこと
  12. 操作が比較的簡単なだけに、飽きられやすい可能性が高いモバイルソーシャルゲームですが、継続して遊んでもらうために、いろいろ試行錯誤をします。バグフィックスなどの防御の体制は必須ですが、それ以外にも攻めの体制としてゲーム内イベントの企画や、アイテムやキャラの追加などをやっていくようです。たとえばクリスマス限定のキャラとか装備とかアイテムを出す、とか。そうしないとすぐに飽きられちゃう可能性はあります。

  13. アイディア勝負
  14. 端末のスペックや通信速度の問題があり、あまり処理の重いゲームは作れません。それだけに「単純だけど上手く出来ているゲーム」を目指して創り上げていく難しさというか、面白さがあります。ただ、参入障壁が低い(作り自体は簡単な)だけに、素晴らしい仕組みやネタはすぐに真似られる可能性があります。
    このあたりはどの業界でも同じかもしれませんが、モバイルソーシャルゲームにおいては、そのサイクルがものすごく速いですし、その分、似たようなゲームが出てくる数も多いです。なので、フロントランナーはどんどん新しいものを創り続けていかないといけないし、キャッチアップする側はなりふり構わずパクリ・・・じゃなくて先達を参考にさせてもらって開発しないと生き残れないようです。

<雑感>
そんなわけで、ちょちょっとまとめてみたわけですが、今後はどうなることやら、という感じです。
今はいろんなアプリ提供会社が群雄割拠している状態ですが、もう少ししたら淘汰され始めるのかなと思います(いや、もう始まっているかも。)
そんな状況で、鍵になりそうなのは「海外の競合参入への対処」「海外ユーザー獲得」「ゲーム自体のクオリティ向上と短い開発期間の両立」なんじゃないかなーと個人的には感じていますが、いずれにせよ、ここからさらに面白くなっていく業界だと思います。
さてさて。そんな面白そうな業界をいつまで注視していくかわからないエセですはありますが、とりあえず現時点でのまとめとしてここに記しておきます。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

<その他>
直接関係ないですけど、モバイル向けのゲームアプリを開発・提供している会社を「SAP — ソーシャルアプリケーションプロバイダー」と呼ぶのはちょっと抵抗があるんですよね。SAPっつったら天下のSAP社だろうが、と思うわけですが。まぁこれも別の機会の話ですね。

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